スクラムの始め方 〜私のスクラムとの出会い編

今回は私の個人的な経験をシェアさせていただく中で、なぜスクラムを導入したのか、そして導入時の苦労を共有させて頂きたいと思います。ケーススタディーとして気軽に読んで頂ければと思います。

幼少期の体験

このお話しをする上ではまず私の生い立ちをご説明する必要があります。私の実家は掃除会社を営んでいました。素晴らしい組織だったと今でも思いますし、その組織を超える組織を作る事が私の目指すゴールでもあります。何が素晴らしかったかというと、色々な側面があるのですが、働いている人達が仕事に熱中し、イキイキと楽しみながら仕事をしていたというのが大きな要素としてあると思います。なので、幼いころの私は早く仕事がしたいという気持ちでいました。そして社会に出てみて、他の組織を知るにつれて、父の会社が世の中では特殊な環境だったのだと気づきました。そして、いつかは父の会社を超えるような組織を作りたいと思うようになりました。

導入の背景

それから時は経ち、組織・チームビルディング・開発プロセス等を真剣に考え始めなくてならない状況になったのが2007年頃にスタートアップの開発部の責任者になったタイミングでした。当時は社内にそれといった開発のプロセスが定まっておらず、場当たり的に開発をしている状況が続いていました。人数が少なかった時はそれでも、回っていたのですが、人数が増えるにつれてカオス化して行きました。エンジニアだった私がマネージメントをする事になった時に、どうすれば良いか色々と調べているなかで出会ったのがスクラムでした。これだ!という思いでむさぼるように調べました。当時は世の中にスクラムに関して今程の情報は無かったのですが、英語のドキュメントなどを読みながら試してみるという感じで手探りではじめました

スクラムの導入

導入の初期は今思うとスクラムとは程遠い状態で始まりでした。全てのプラクティスをやっているわけでは無く、部分的な適応という状況でした。この試行錯誤をしているタイミングで認定スクラムマスター研修という存在を知り、正しい理解をしたいと思い受講する事にしました。これが日本で2回目に開催された認定スクラムマスター研修でした。受講してみると、自分達がやっていた事はスクラム以前の状態だと気付き、そして進める中で悩んでいる事や疑問に思っていた事を講師に質問する事ができ、とても良い学びの場でした。ここから、本気でのスクラムマスターとしての活動がスタートしました。

まずは上司であった社長に、「スクラムをちゃんと導入したいので理解して欲しい。その上で導入に賛同して欲しい。」という思いを伝え、業務が落ち着く夜間に説明をし、社長に隙があれば口説き続け、賛同をとりつけることができました。・・・・しかし、社長の後日談によると、スクラムが何なのかはイマイチ理解しきれてなかったものの、ものすごい情熱と気迫を感じたので、「そんなにやりたいのなら、とりあえずやってみれば?」という感じだったそうです(笑)。そして、次にチームメンバーにスクラムについて説明し、チームメンバーを口説き始めました。その時のチームのリアクションはやってみなければ分からないから、「そんなに言うならとりあえずやってみましょう」というものでした。

晴れて(?)導入することができたたスクラムですが、導入後も様々な問題が発生しました。初めはチームメンバーから否定的な意見が多く出ました。会議が多く無駄だ、スプリント計画は時間の無駄だから参加しないと席に戻ってしまう人が出たり、興味が無いと窓の外をずっと見ている人がいたり・・・さんざんなスタートでした。その時の私にできたのは、各セレモニーの意義をご説明し、協力をお願いするだけでした。このような状況が暫く続いたのですが、あるタイミングでExcelで運用していたプロダクトバックログに限界を感じたチームメンバーが良さそうなデジタルツールが存在しないので、「自作で作りましょう!」と言い始め、ツールを作りはじめたのがターニングポイントとなりました。そのツールでチームメンバーが遊びはじめ、季節に応じて壁紙が変わったり、隠しコマンドが作られたりという事が行われはじめました。その頃からスクラムを辞めようという話しは出なくなりました。スクラムのメリットを体感できるようになってきたので、スクラム以外でやる事は考えられないという発言がでるまでになりました。この状態になってからは改善が進むようになりました。

ふりかえりと今後

今ふりかえると、もっと上手にできたと思う事は多いのですが、それでも以前よりも良い状況は作れるようになった事と理想とする組織やチームに1歩近づけた事を嬉しく思っていました。今はお客様の現場を改善するお手伝いをさせて頂いておりますが、お客様にとって理想の状態を作れるように今後も精進して行きたいと思います。そして、この改善活動に賛同して頂ける方が増えて行き、世の中が今よりちょっとHappyな場になれれば良いと思い活動を続けています。