リクルート メンバーズブログ  [Google Performance Summit 2016] Adwords新機能&トレンドレポート

[Google Performance Summit 2016] Adwords新機能&トレンドレポート

こんにちは。 デジタルマーケティンググループの平井です。5/24と5/25の二日間、アメリカ・サンフランシスコにて開催されたGoogle Performance Summit 2016に参加してきました。
今回の記事では本イベントにて発表されたGoogle Adwordsの新機能を中心に紹介したいと思います。

Google Performance Summit 2016(GPS)とは

GPSとは昨年まで開催されていたAdwords Performance SummitとGoogle Analytics Summitの二つが統合され、今年から大々的にサンフランシスコにて開催されたマーケティングカンファレンスです。

今回は新プロダクトであるGoogle Analytics 360 suiteに関する発表とAdwordsの新機能が発表されました。幅広いマーケティングというテーマでGoogleの広告プロダクトであるAdwordsとウェブマスター向けのデータ分析プロダクトであるGoogle Analyticsに関連する様々なセッションが催されました。
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テーマは「モバイルファーストワールド」

今回、Googleは世界中でモバイルの影響力が爆発的に上がっていく中で「モバイルファーストワールド(Mobile-First World) 」というテーマをメインに置きました。

Googleでの検索数は世界で2兆を越えたという発表がありましたが、なんと、その内50%近くをモバイルが占めるようになっています。検索数だけではなくGoogle Analyticsの全アクセスの中でもモバイルが半分近くに達しているそうです。実際にウェブサービスを運営している皆さんも、そのようなトレンドを日々肌で感じているのではないでしょうか。

モバイルが普及する中で位置情報など様々なデータがオフラインで計測出来るようになりました。”Micro-moments”とGoogleが提唱するように、オンラインでのユーザーとのタッチポイントはモバイルを中心に日々広がっています。

そのような中で、いかに企業がユーザーに対して「最適なタイミングで最適なユーザーに対して最適なマーケティングコミュニケーションを取れることが出来るか」という思想の中で様々な機能アップデートが発表されました。
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以下では、実際にAdwordsの新機能を上の思想 やトレンドとともに紹介していきます。

Google Adwordsの新機能

▼ユーザーのデモグラフィックデータや行動データを基にしたターゲティングの精緻化と拡大

  1. 年代や性別などデモグラデータを元にしたデモグラターゲティング(DFSA)
  2. 購買傾向による行動ターゲティング(In Market)
  3. RLSAのリストを元にしたオーディエンス拡張(Simillar Audience for search)

個人的に、今回の発表の中で最も影響が大きいと感じたのはターゲティングです。

今まではリスティング広告ではキーワードターゲティング/コンテンツターゲティング(DSA)/リストターゲティング(RLSA)の三つがメインでした。 しかし、今回のリリースにより、従来より細かなセグメンテーションを実現し、さらにRLSAのリストに該当するオーディエンスの類似ユーザーへも最適なコミュニケーションをすることが出来るようになります。

▼クリエイティブのリッチ化によるコンテンツと広告の融合

  1. テキスト広告の上限文字数の増加(Expanded text ads for all devices)
  2. 動的ディスプレイ広告(Responsive ads for display)

今回、クリエイティブ関連では様々な広告/フォーマットのリッチ化を実現する新機能を発表しました。
検索広告では、広告文言の上限が50%増えることでさらに細かな訴求をすることが可能になります。従来の上限文字数ではアカウント固有の訴求はしにくかったのですが、今回の変更でそれぞれのプロダクトが独自の訴求をすることが出来るようになり、その結果クリエイティブ面での競合差別化が可能になります。
実際に一部の広告主でテストをした結果では20%を越えるCTRの改善が見られたそうです。

以下、Googleが発表した検索テキスト広告の変更点をご紹介します。
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ディスプレイ広告では、下記のようにネイティブ広告に近い動的な広告が出されることで、Attentionを引くことが出きず無視されていたようなディスプレイ広告でより認知や購買を獲得することが出来るようになります。
動的ディスプレイ広告では、画像やテキストなどそれぞれのクリエイティブを入稿すれば動的にGoogleがクリエイティブを生成して掲載枠ごとに最適化された広告が掲載されます。

▼デバイスごとの入札調整によるクロスデバイスコミュニケーション最適化

・デバイスによる入札最適化(bid adjustments for each device type)
入札については、Desktop/Mobile/Tabletそれぞれの機能ごとに入札単価を-100%から+900%で設定することが出来るようになりました。

その結果、Tabletのみで入札単価の調整が出来るようになります。それに加えて、今までは時間帯やエリアなどを同じ粒度での調整だった、デバイス単体で入札単価が調整出来るようになったことで運用のしやすさも向上するのではないでしょうか。

先述したように、総検索数が2兆を越え、その内モバイルの比率は50%を越えている中で、Googleが提唱する”Micro-Moments”の思想に基づき検索行動のIntent×Contextはデバイスごとに異なります。そのような中でマーケッターは個々のデバイスに応じた最適なコミュニケーションをとり最適な検索体験をユーザーに与える必要性が高まります。

▼広告のマップ面の拡大によるオフラインとオンラインの接続

・ローカル検索広告(local search ads across Google.com and Google Maps)
ローカル検索広告はGoogle Mapにユーザーがアクセスしたときに、以下の写真のようにマップ上に”Promoted Pins”と広告が表示されます。
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Googleはモバイル端末からの検索の内3分の1がエリアに関連する検索クエリであると発表し、かつ、エリア検索のクエリの成長率はそれ以外よりも50%近く大きいというデータを発表しました。この新機能によって検索エンジンでのオンライン情報へのニーズだけではなく、マップ上でのオフライン情報検索ニーズへも広告主がリーチすることが出来るようになります。

カンファレンスの中で紹介していたビーコンによるオフラインコンバージョン計測と合わせて、リアル店舗のオンラインマーケティングがさらに加速するのではないでしょうか。

上記の広告の各機能についてはGoogleの最新ブログ(英語)でも紹介されています。
・Ads and analytics innovations for a mobile-first world
※新機能の画像は上記より引用。

▼マテリアルデザインへのダッシュボードのリデザイン

・広告ダッシュボードのリデザイン
今回、GoogleはAdwordsのダッシュボードをマテリアルデザインに基づいた新デザインにリニューアルすることを発表しました。こちらはすでに発表されていたものですが、今回のイベントではより具体的な設計思想やデモの発表などがありました。

従来のダッシュボードは多くの選択肢があり、オプションが細かく分かれていたのに対し、リニューアル後のデザインはそれらが最低限/シンプルになり、個々のアイコンがその機能を視覚的にユーザーが理解しやすいものになりました。

アイコンを選択したときのレスポンスも動的になり、ユーザーインタラクションのレスポンシビリティも向上したと感じました

Googleが考えるマテリアルデザインの思想については以下のページに詳細に記載されてあります。
・Material design – Google design guidelines

マーケッターはどうカスタマーに向き合うべきか?

今後はユーザーが常にインターネットに繋がり、モバイル、デスクトップ、タブレットなどを通して常に様々な情報に接するという世界が実現するようになります。

そのような中でわれわれマーケッターはユーザーと向き合い、彼らはカスタマージャーニーの中で何を求めてどのような消費者行動をしているのかを把握する必要があります。

プロダクトとして様々なチャネルで一貫したコミュニケーションでマーケティングを行うことで、彼らの”Micro-moments”を捉え、日々の中で価値があるプロダクトをスムーズにユーザーが伝えることが出来るようになるのではないでしょうか。