ソフトウェアエンジニアとしての経歴を活かし、どのようにリクルート データ推進室でキャリアを構築できるのか。
今回の連載では、ソフトウェア開発のバックグラウンドを持ちながら、現在はリクルートのデータ推進室で「データエンジニア」と「アナリティクスエンジニア」として活躍する2名のメンバーのリアルな声をお届けします。
後編となる今回は、異業種である鉄鋼業のシステム制御エンジニアからリクルートのアナリティクスエンジニアへと転身した半谷聡に話を聞きました。
前職での泥臭い現場体験をどのようにリクルートでのデータ活用に活かし、最先端の「AI分析エージェント向けデータ整備」という挑戦へと繋げているのか。上司であるデータ推進室 データマネジメント部 部長の新堀とともに、そのキャリアの変遷やリクルートで働く面白さについて語りました。
(前編は
こちら
)
データテクノロジーユニット データマネジメント部 所属。2023年にリクルートへキャリア入社後、住まい領域におけるデータモデリングやデータマート整備を担当。現在はAI分析エージェント向けのデータ・コンテキスト整備などの技術装着に挑む。
新堀 秀和
データテクノロジーユニット データマネジメント部 部長。ITベンチャーやWebサービス企業での開発経験を経て、2017年 リクルート住まいカンパニー(現リクルート)へキャリア入社。データマネジメント領域を牽引しながら、生成AI時代を見据えたデータ品質管理と活用基盤整備に取り組んでいる。
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本連載の聞き手である新堀が、これまでの自身のキャリアや、リクルートのデータ組織が目指す未来について語ったインタビューはこちら。
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データ推進室 データマネジメント部長が語る、「難問」への探求心とデータが支える事業の根幹
原点は「通いつめた工場現場」。データ活用の手応えを知った前職時代
新堀:半谷さんとは普段から住まい領域のデータエンジニアリングやAI施策で一緒に動いているけれど、前職はリクルートとは全く違う鉄鋼業の出身ですよね。学生時代はどんな勉強をしていたのでしょうか?
半谷:大学院では制御工学を専攻し、ロボット制御やモーター制御の研究をしていました。工場内の機械制御でバリバリ使われる分野だったので周りも製造業に進む人が多く、「よりスケールの大きい仕事がしたい」と考えて鉄鋼メーカーに入社しました。
新堀:そこからどうして、工場内でのデータ活用という領域に踏み込むことになったのでしょうか?
半谷:当時、会社で「工場の中に溜まっているデータを活用して生産性を改善していこう」という案件が立ち上がり、新人の僕が一番最初にアサインされたのがきっかけでした。最初はモーター制御などのイメージと違って戸惑いましたが、工場見学として2ヶ月間、現場に張り付きで滞在させてもらったんです。
現場の作業員の方々の隣でデータの使われ方を見ていると、設備の故障予兆をデータで判断しているのがすごく面白くて。「これをもっと現場の人に使われやすい仕組みにできたら面白くなるんじゃないか」と興味が湧いてきました。
新堀:面接の時にもそのエピソードを聞いて、すごく印象に残っているんですよね。鉄鋼業って熟練の作業員の方が多くて、20代の若いエンジニアが突然行っても簡単には受け入れてもらえないじゃないですか。そこを2ヶ月通いつめて関係を築いて、現場の課題に合わせた小さな仕組みを作って試してもらいながら信頼を得ていったという体験が、いかにも半谷さんらしいなと思って。 冷房の効いたオフィスで上がってくるデータだけを見て可視化するのではなく、「現場に足を運び、オペレーションの中でデータがどう発生して、どう改善に繋がるか」を実体験として知っていた。リクルートのアナリティクスエンジニアに最も必要な「現場を見る土台」があるなと確信してオファーを出したんですよね。
半谷:現場の人が普段どういう仕事をしているかを理解しないと、現場の業務の中で使われるシステムにはならないと思ったんです。自分の仕事抜きにして「まず現場の仕事を理解する」ことを第一の目的に置いて活動していました。
新堀:エンジニアはどうしても仕様や技術的なアーキテクチャといった手法(How)に目が向きがちですが、そこを泥臭く現場起点で捉え直せるのは半谷さんの大きな強みですよね。
半谷:「現場の人が普段どうデータを見ているか」から逆算して、データ加工方法や可視化方法を工夫して仕組み化したら、すごく喜ばれて現場で使ってもらえるようになりました。システムを企画してから実際に現場で使われるまでの流れを一貫して体験できたことは、自分にとって大きな原体験となっています。
「データ活用を専門にしたい」——独学での我流から、リクルートのデータ専門組織へ
新堀:前職で手応えを感じつつも、4年目を迎えるタイミングでリクルートへの転職を決意した理由は何だったのでしょうか?
半谷:前職での仕事は楽しかったのですが、年次が上がるにつれて鉄鋼業本業のプラントマネジメントへシフトしていくキャリアパスが見えてきたんです。せっかくデータの面白さを知ったので、このままデータ領域の専門性を磨きたいと考え始めました。
最初は「データエンジニア」で探していたのですが、転職エージェント経由で新堀さんから「アナリティクスエンジニアとして選考を受けてみないか」とお声がけいただいたのが最初の接点でした。
新堀:当時はSQLやBigQueryなどのDWH技術はあまり触っていなかったですよね?そんな中、データ専門職へ転身することに対して、迷いや不安はなかったですか?
半谷:はい、まったく触ったことがありませんでした(笑)。ただ、「技術やスキルは勉強すれば後から身につくだろう」という楽観的な思いがあったので、大きな不安はありませんでしたね。
それ以上に、前職では周りにデータ専門家がおらず全て独学の「我流」でやってきたので、データ活用に強みを持つリクルートの専門組織で、世の中の最先端技術を使いながら自分のスキルを磨いていきたいという期待感が強かったです。
新堀:その前向きな姿勢が半谷さんらしさですよね。専門組織で技術を磨きたいという思いも、エンジニアとしてはすごく自然な感覚だと思います。「世の中に使われていないデータはたくさんあって、使われるための工夫を一段挟んであげれば大きな価値を生み出せる」という原体験があるからこそ、その思いも強いのですね。
SQL未経験からのキャッチアップと、組織を跨いだ成長環境
新堀:その後、実際にリクルートに入社してみて、ギャップやキャッチアップでの苦労はありましたか?
半谷:ギャップは正直ほとんどありませんでしたね。リクルートの「成果に繋がるチャレンジであればどんどん打席に立たせてくれる環境」には感動しました。前職とはまた異なるスピード感で、dbtの導入や最新BIツールの検証など、新たな技術的な試行錯誤を非常にスピーディーに進められる点に、大きな魅力を感じています。
新堀:もちろん見立てや情報収集はした上ですが、「3割くらいの成功確率でもスピーディーに挑戦してみよう」という組織のカルチャーが、半谷さんの知的好奇心とすごく合っているのかなと思っています。
半谷:はい、やっていてすごい楽しいですね。
新堀:入社後はBigQueryやSQLチューニング、dbtによるデータモデリングなどを驚異的なスピードで吸収していきましたよね。「事業のこの課題を解決したいんだよね」と半谷さんに相談すると、「あ、それもう検証環境に実装してありますよ」なんて返してくれるレベルで自走してくれていて本当に助かっています。そんな半谷さんのキャッチアップを支えた育成環境やオンボーディングはどうでしたか?
半谷:困った時に質問すると、誰かが必ず高いレベルで答えてくれる環境には本当に助けられています。組織内や横断で定期的に開催されているLT会や、よもやま(※)などのナレッジを共有し合う文化が根付いているのは心強いですね。
また、僕の場合は本格的なデータマート開発やモデリングを習得するため、一時期、当時のHR領域のチームを兼務させてもらいました。そこでエキスパートのメンバーと一緒に開発した経験が非常に大きく、住まい領域に戻ってきてからもその知見をベースに自分で新しい機能を調べて導入できるようになりました。
新堀:リクルートは事業領域が多岐にわたるので、本人の目指すスキルセットに合わせて他領域を兼務するなどして、実践の中でスキルを身につけられるのが独自の強みですよね。
「AI分析エージェント向けデータ整備」という最先端領域への挑戦
新堀:半谷さんは現在、住まい領域で「AI分析エージェント向けのデータ・コンテキスト整備」という、正解がまだ分からない難しいプロジェクトを推進してくれていますよね。この取り組みについて詳しく教えていただけますか?
半谷:今までは「人間」が分析しやすいようにデータマートを整理していましたが、現在はChatGPTなどのLLMやAIエージェントが自律的にデータを抽出・分析できるようにするための「AI向けデータ整備」に取り組んでいます。
人間相手のデータ整理だと活用が個人に依存して横にスケールしにくい課題がありましたが、エージェント向けにデータやドメイン知識やコンテキストを整備すれば、組織全体のデータ分析が大きくスケールします。
例えば、リクルート社内には独特の専門用語や暗黙知が存在しますが、そのままではAIは理解できません。そうした用語定義やビジネスルールを構造化し、AIが誤解しないようなガードレール(セマンティックレイヤー)を構築しています。
新堀:セマンティックレイヤーって、人間が定義を一つずつ手で書いていくと、事業の変化スピードにどうしても追いつけないんですよね。だから僕らは、既存のクエリやドキュメントからAIに定義の候補を抽出させて、人間はレビューと判断に集中する、という形にできないかを、前から試し続けている。正解がない中でこれをやる面白さややりがいは、どこにあると感じていますか?
半谷:やはり、一番は自分が整備したデータやナレッジを使って、AIエージェントがSlack上で社員からの複雑な分析依頼に完璧に回答できているのを見た時ですね。「あの時整理したナレッジがちゃんと生きているな」と感じられて、とても嬉しいです。 (笑)。 以前なら実現に年単位の時間がかかったり諦めていたようなアイデアが、AIを活用することで数日〜数週間で検証・実装できるようになりました。AI時代だからこそ、データの価値を何倍にも増幅させるアナリティクスエンジニアの役割がより重要になり、やりがいも大きくなっていると感じます。
AI時代におけるアナリティクスエンジニアの価値と「現場起点」の重要性
新堀:AIエージェントが高度なコードを生成できる時代になってきましたが、アナリティクスエンジニアやデータ職の価値はどう変化していくと考えていますか?
半谷:コードを書くなどの「How」の作業自体は、生成AIやClaudeなどのツールがどんどん代替してくれますし、自分より綺麗なコードを書いてくれます。ですが、「現場の人間が本当は何に困っていて、どういうデータが発生しているのか」を正しく解釈し、AIが活用できる形に落とし込む作業は人間にしかできません。
単に技術スタックを押し付けるのではなく、相手(現場)と同じ目線に立って課題を構造化し、AIと人間の間を繋ぐ役割こそが、これからのアナリティクスエンジニアに求められる本質的な価値だと思います。
新堀:まさにその通りですよね。AI時代になればなるほど、裏側にあるデータやコンテキストを泥臭く集めて構造化する「人間力・現場力」が問われるのではないでしょうか。
最後に、ソフトウェアエンジニアからデータ職へのキャリアチェンジを検討している方へメッセージをお願いします。
半谷:データ整備という課題に対して、使える技術の多さや、それを後押ししてくれる組織・カルチャーがここまで整っている環境は珍しいのではないかと思います。「やりたいことが何でもできる会社」なので、ぜひ一緒に挑戦しましょう!
技術は入社後にいくらでもキャッチアップできますし、今はAIもサポートしてくれます。データ整備の最後のゴールは「いかに現場の人に使ってもらうか」に尽きるので、相手と同じ目線に立って課題解決できる人と働けたら嬉しいです。ドメインや技術が変わっても本質は変わりませんので、ぜひ一歩踏み出して挑戦してほしいですね。
新堀:現場へのリスペクトと探究心が、新しい価値を生んでいく。そんな半谷さんの姿勢に、私も改めて刺激をもらえました。今日はありがとうございました!
編集後記:経験より探究心 ―― AI時代の挑戦を後押しするリクルート データ推進室
前編の池田さん、そして後編の半谷さんのお話を通じて一貫していたのは、「データ職において大切なのは、入社時点での高度なスキルではなく、課題の根本を見極める探究心と現場起点のアプローチである」 という点です。
鉄鋼業という全く異なる業界から飛び込んだ半谷さんが紹介しているように、リクルート データ推進室には、挑戦を後押しするカルチャーと、柔軟な育成・成長環境が整っています。
「自分のエンジニアリング力を活かして、より大きな事業インパクトを生み出したい」 「AI時代において、一歩先を行くデータ基盤・データ活用に挑みたい」
そう考えるソフトウェアエンジニアの皆さんがキャリアの新たな可能性を広げる、その挑戦を私たちは全力で歓迎します。
※「よもやま」とは、社内のメンバー同士がテーマを限定せず、日常業務の困りごとからキャリアの相談、カジュアルな雑談まで幅広く情報交換や意見交換を行う「1対1(または少人数)の対話・個別相談」を指します。
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プロダクト企画統括室
阿部 奈保子
技術広報や採用ブランディングを担当しています。