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リクルートのデータ推進室にて、データエンジニアリンググループのマネジャーを務める山本 哲生。ゲーム業界で10年以上にわたりハードウェアの性能を極限まで引き出す最適化に挑んだ後、2015年にリクルートへ入社。Web APIやデータ基盤の開発、MLOpsの実践を経て、現在は『ホットペッパーグルメ』などの飲食・美容・旅行・SaaS領域の基盤運用や、生成AIを活用した「分析エージェント」の開発をリードしています。

自分でコードも書きながら、マネジャーとして「組織として問題が起きない仕組みを作る」―再現性とスピードを追求し、エンジニアリングの可能性を広げ続ける仕事の哲学に迫ります。


山本 哲生

経歴:
大学卒業後はゲーム会社で約10年間、ハードウェアの性能を極限まで引き出す最適化などに従事。2015年にリクルート(当時のリクルートコミュニケーションズ)へキャリア入社。Web APIの開発やデータ基盤、MLOpsの管轄マネジャーなどを務める。現在はデータ推進室のデータエンジニアリンググループのマネジャーとして、販促・SaaS領域の基盤づくりや、生成AIを活用した「分析エージェント」の開発をリード。長野県在住で、月に1回ほど東京のオフィスに出社している。最近飼い始めた愛犬のボーダーコリーと2時間散歩するのが日課。

大学時代のアルバイトでプログラミングに没頭、ゲーム業界で培った最適化の原体験

― まずは学生時代について教えていただけますか?大学では何をされていたのでしょうか。

山本:農学系の研究をしていましたが、勉強に関して非常に不真面目な学生でしたね(笑)。 というのも、アルバイトでソフトウェアエンジニアをしていて、そちらに夢中になってしまったんです。 そこではMacにおける画像処理などのプログラムを書いていたのですが、 大学の一般教養科目でプログラミングの授業を受けて一定の知識はあったので、未経験でも取り組ませてもらえました。 その後、大学院へは進まず、1社目はゲーム会社に入社しました。

― 山本さんがエンジニアリングに興味を持った最初のきっかけは何だったんですか?

山本:最初は中学生の時(1995年頃)ですね。 授業でBASICを使って何か作ろうというものがあって、私は旗上げゲームみたいなものをパパッと作れたんです。 文字列や数式を組んで形になるのが面白くて、それが「自分に向いているな」と思った原体験ですね。 当時は家にパソコンもなかったので、学校のパソコンで行っていました。

― なぜゲーム業界を選んだのでしょうか?また、どんな業務をされていたんですか?

山本:私が就職活動をした20年ほど前は、日本のゲームが既に世界中で遊ばれていて、ソフトウェアエンジニアリングにおいても世界に比肩しうると考えていました。「勢いのある業界で働いた方がいい仕事ができる」と思いゲーム業界を選び、そこではGPUやCPUを扱う低レイヤーの技術を駆使していかに短い時間でプログラムを動かすか、という最適化を徹底的に行っていました。 この「限られたハードウェアの中で最適化を突き詰める経験」が今の基盤設計に直接つながっているわけではないですが、「裏側の仕組みがどうなっているのかを想像して、できること・できないことを判断する能力」にはつながっていると思います。

リクルートへの転職。品質の追求とビジネスのバランス

― 2社目も含めゲーム業界に10年ほどいらした中で、なぜリクルートへ転職されたのですか?

山本:きっかけは競技プログラミングです。 最適化の分野と近く、面白いと思って個人的に取り組んでいたのですが、当時、競技プログラミングに類似したコーディング試験を採用活動に利用している会社は日本ではリクルートコミュニケーションズ(現リクルート)くらいだったんです。 「波長が合う人がいるんだろうな、面白い会社だな」と興味を持ったのが最初のきっかけですね。 また、転職を考えた理由としては、よりプライベートの時間が確保できる環境を探していたことと、最適化のような低レイヤーの技術においては、海外の会社の方が優秀なエンジンを作る時代になってきていて、自分の好きな技術領域が減っていくのが目に見えていたからです。 「もうゲーム業界にこだわる必要はないな」とゼロベースで考え、割と早く内定をもらったリクルートに決めました。

― 実際に入社されて、Webアプリやデータ基盤の構築に関わる中で、面白さや難しさ、ギャップなどはありましたか?

山本:一番のギャップは「ROI(投資利益率)を考えて仕事をする」ことでした。 前職のゲーム業界は「妥協しないで品質を高める」、いわゆる日本のものづくり的な文化だったんですが、リクルートは利益率も重視します。「やることとやらないことをきちんと決める」、というマインドセットの切り替えが必要でした。組織や環境によって何が大事かは変わるんだと体感しつつ、個別に見ればそのままにしておいて問題ない部分と、積み重なると負債になるので直すべき部分を見極めることが大事だと学びました。

― 逆に、リクルートに入って面白かったことは?

山本:「何をやるべきか、自分で考えて決められる」というボトムアップな風土ですね。 ゲーム業界では「このゲームを作ります」というのはトップダウンで決まりますが、リクルートは「取り組まないといけない課題」が無限にあり、自分の能力や取り組みたいことにマッチするものを自分で見つけて、ある程度自由に進めても怒られない。 そこは衝撃的でしたし、面白いポイントでしたね。ただ最初は、抽象的な課題を渡されて「自由に動け」と言われても、戸惑いが大きく大変でした。当時の上長との1on1を通じて、「この会社の考え方はこうなんだ」というのを実体験として理解できていったと思います。

― 入社当時は、具体的にどんなお仕事をされていたのですか?

山本:最初はアドテク領域で、 社外の方がリクルートが持つ店舗に関するデータを利用して新サービス(独自のUI/UXアプリやランキングサイトなど)を作れるようにする、「マッシュアップ」の基盤となるサービスのWeb APIの保守・開発をしていました。その後は、『Airレジ』などのSaaS領域や、 『ホットペッパーグルメ』『ホットペッパービューティー』『じゃらん』などの飲食・美容・旅行領域のデータ基盤周り、MLOpsなどの管轄グループマネジャーを担当しました。

エンジニアとしてのこだわりと、マネジャーとしての哲学

― 直近でご自身の技術力がインパクトを与えたエピソードがあれば教えてください。

山本:今期で一番大きいのは、私自身がエンジニアとして飲食・美容・旅行・SaaS領域で使う「社内分析のためのAIエージェント」を開発してリリースしたことです。プロダクトに関わる各担当や役員などが「キャンペーンの初速はどうだったか」「予約実績の多いエリアはどこか」といった分析を、SQLを書かずに自然言語で依頼でき、すぐに分析結果が返ってくる仕組みです。これまでは、欲しいデータをデータ組織の担当に抽出を依頼して1日〜数日かかっていたものが、5分〜10分で結果が得られるようになり、待ち時間と工数ともに大幅に圧縮されました。自分自身も、SQLを書く手間から後回しにしがちだったデータ確認を気軽に行えるようになり、結果として想定以上のインパクトを生む仕事となりました。

もともと他の事業領域で先行して同じような取り組みをしており、横展開する話から始まったのですが、自分なりにソースコードなどを見て「アーキテクチャをこうした方がより良くなるのではないか」と考えた部分を修正適用していきました。少しコストをかけてでもアーキテクチャを整えた結果、リリースから3カ月で100回以上アップデートのリリースを繰り返せるなど、速いサイクルで改善を回せています。

― ご自身で手を動かされてインパクトが出た事例ですね。一方、マネジャーとしての責任や面白さはどのあたりに感じますか?

山本:私はプレイングマネジャーとして、「マネジメント」と「自分でコードを書く実務」を気持ちとしては併せて150%くらいで行っています(笑)。マネジメントに関しては、「メンバーの育成」に対する責任は大きいと感じています。 「メンバーが嬉しければ良い」というような評価査定は許されませんし、長期的なキャリアを考えて、言いづらい厳しいこともきちんと言わなければならないプレッシャーはあります。面白さで言うと、マネジャーとしての職権を使って物事をスピーディに進められることですね。 主に予算面や承認フローなど、自分の役職権限を「物事をより早く進めるために使える」のは非常に面白いです。 ちなみに、チャットの返信が端的なので、メンバーから「冷たい人だと思ってた」と言われることがありますが、実際に話すと柔らかいと言われます(笑)。

チーム運営で大切にしているのは「仕組みとして問題を捉えること」です。 何か問題が起きた時に「誰か」を責めるのではなく、「組織としてその問題が起きないようにするためにどういう仕組みを作るか」を常に考えています。 逆に良いことがあった時も、その人を褒めるのは当然として、「その成功を再現できる仕組み」をどう作るかを意識しています。

ソフトウェアエンジニアリングを心から楽しめる環境

― 今後、ご自身のグループにはどのような方が合うと思われますか?

山本:ソフトウェアエンジニアリングを心から楽しめる方、熱中できる方が合うと思います。 異業種からでも全く問題ありません、私自身がそうですから。 今の自分の知識だけで満足するのではなく、成果を上げるためにより新しい知識を習得し、前向きに取り組める方にぜひ来ていただきたいです。 ソフトウェアエンジニアスキルを持ち、自分の範囲を閉じずに何でもやるスタンスの方にはとても合う環境だと思っています。

また、昨今はAIエージェントを通じて新しいものを作るスピードは劇的に上がっており、私個人としては「毎日めちゃくちゃ面白い」と感じています。 その分、新しいことを学ぶ必要があって大変な時代ではありますが、見返りも多いです。 この変化を「面白い」と楽しめる方、ぜひお待ちしています。

※組織名・肩書は記事公開日時点のものです
大磯 春佳

プロダクト企画統括室

大磯 春佳

データ推進室の技術広報や採用ブランディングを担当しています。